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「ゲーム内の役割」から考える敵キャラクターのデザイン方法

こんにちは!情熱推進部アートデザイン課の大山です。

梅雨もすっかり明け、日差しと暑さが厄介な季節になってきましたね。

今回はゲームの中に登場する厄介者である、
「敵キャラクター」をデザインする際に自分が用いているワークフローを紹介いたします!

敵キャラクターを「ゲーム内の役割」から考える方法の紹介


敵キャラクターはプレイヤーの前に立ちふさがる厄介者ですが、
プレイヤーによりよいゲーム体験をしてもらうためには欠かせない存在です。

まずは以下の例を見てみてください

目の前に大きな口と牙を携えた敵が現れました。

見るからに「噛みついてきそう」といった見た目ですね。


「噛みついてきそう」という情報から、
プレイヤーは

  • 安易に近づかない方が良さそう
  • 頭上や背後から攻撃した方が安全そう

と考えることが出来ます。

そのため、いったん距離を取ってみましたが…

次の瞬間、相手は雷魔法で攻撃を仕掛けてきました。

この例のように、「見た目から推測できる敵の行動パターン」と「実際の敵の行動パターン」に乖離があると、
プレイヤーが違和感や理不尽を感じてしまう原因になりかねません。

中にはこういった違和感や理不尽を体験の1つとして提供する例もありますが、基本的にプレイヤーにはストレスがかかるため使いどころに注意する必要があります。


では、次の例を見てみましょう

矢をつがえている敵が出てきました。
見るからに「矢を撃ってきそう」という見た目です。

矢を撃ってきそうだったので、盾を構えて防御体勢に入り…

狙い通り矢を防ぐことができ、そのスキをついて敵を倒すことが出来ました!


こちらの例では、
実際に「見た目から推測できる敵の行動パターン」と「実際の行動パターン」が一致しており、プレイヤーにかかるストレスは先ほどと比べて大きく減ります。

また、プレイヤーに「予測が成功した!」という成功体験を与え、プレイヤーに「嬉しい!」という前向きな感情を抱いてもらう事が出来ます。
このように、敵キャラクターのデザインでプレイヤーに適切な情報を伝えられると、気持ちよくゲームを遊んでもらうことが出来るのです。

そのため、敵キャラクターをデザインする際は
プレイヤーに「どんな情報を伝えれば良いのか」を把握する事が必要になります。

今回は、敵キャラクターがプレイヤーに伝えるべき情報を整理するために、

  • 行動パターン
  • 敵の強さ
  • 出現ステージ

等の「敵キャラクターの持つゲーム内の役割」を利用して、
敵キャラクターのデザインを行ってみようと思います。

「ゲーム内の役割」からモチーフを考える

今回は、以下の「ゲーム内の役割」を前提としてキャラクターデザインを進めてみます。

  • 突進攻撃をしてくる
  • ザコ敵(ザコ敵の中でも簡単に倒せる種類)
  • 火山エリアに出現する

上記の役割を前提として、まずはどういうモチーフが良いかの案出しをします。

「突進攻撃をしてくる」という役割からモチーフを決める


モチーフを選定する際は、「行動パターン」からモチーフを決めていくのがオススメです。
「敵キャラの行動パターン」を考えると、「その行動パターンが可能なモチーフ」が選定できるからです。

例えば

  • 空を飛べる
  • 噛みつき攻撃を行う

上記を満たすモチーフといえば…?

  • コウモリやドラゴン!

といった具合です。

それを踏まえて今回の「行動パターン」を考えると、
今回は「突進」が出来る、似合う存在をモチーフとして選ぶのが良さそうです。

まずは「闘牛」、「サイ」、「イノシシ」を候補に挙げてみました。

「簡単に倒せる」という役割からモチーフを絞る

「突進」という役割を満たせるモチーフの候補が上がってきたので、
次は「ザコ敵(ザコ敵の中でも簡単に倒せる)」という役割から候補を絞ってみましょう。


「ザコ敵(ザコ敵の中でも簡単に倒せる)」という事は、プレイヤーに「そこまで苦労せず倒せそう」という認識を持ってもらう必要があります。
それを踏まえて選ぶと、

  • 闘牛
  • サイ

上記のモチーフは体躯がかなり大きく、ザコ敵にしては少し強く見え過ぎてしまいそうです。

今回は、残ったイノシシをモチーフに進めようと思います。


また、今回は「簡単に倒せる」という役割があります。
そこで、弱さを感じさせるためイノシシの子どもである
「ウリ坊」をモチーフに進めてみましょう。

「火山エリアに出現する」という役割から「そのステージらしさ」を付与する

次に、「そのステージらしさ」を付与してみます。

突然ですが、「そのステージらしさ」を付与しない場合の例を見ていただきたいです。

プレイヤーは新たに雪山のステージを訪れました。
このステージは、「氷、雪」を特徴とした、「氷に強く、炎に弱い」という特徴を持つ敵やギミックが登場するステージになります。(雪山、という要素予想はできるものの、プレイヤーはまだこの事を知りません。)

早速敵キャラが現れました。

パッと見だとどんな攻撃か有効か分からないので、まずは試しに氷攻撃を試してみました。

攻撃は全く効かず、返り討ちに遭ってしまいました。

では次に、以下の例を見てみましょう。

「氷、雪」っぽい見た目の敵キャラが出てきました。

見るからに「熱」に弱そうなので炎攻撃を試すと…

無事倒すことが出来ました!

このように「ステージのテーマ(今回は雪、氷)」を「ステージらしさ」として敵キャラの見た目に落とし込む事で、有効な行動が想像しやすい敵キャラクターを作ることが出来ます。

また「情報を伝える」という今回のテーマからは少し外れますが、
「ステージに馴染む見た目にしやすい」という点も非常に有用です。

今回は「火山エリアに出現する」という役割で制作を進めていくので、

など火山を感じさせる要素を付与しようと思います。

決めたモチーフを基にデザインを制作する

モチーフ同士を組み合わせてみる

モチーフが決まったので、次は「決めたモチーフ(ウリ坊+火山要素)」を組み合わせてみましょう。

モチーフを組み合わせる際は、「似ている要素、共通している要素」を探すと非常に組み合わせやすいです。


今回だと

  • イノシシの体毛 + 炎
    • シルエットが似ている
  • イノシシのキバやツメ + 岩
    • 「硬い」という属性が似ている
  • 火山の煙 + 鼻息
    • シルエットが似ている
      (「デザイン」とは少し離れる要素ですが…)

などが組み合わせられそうです。

「敵」感を出す

敵キャラの場合、表情を穏やかにし過ぎてしまうと「敵」感が薄れてしまう事があります。
「敵」感が薄くなってしまうと、

  • 敵だという事に気づかずに近づいてしまう
    • いきなり攻撃を受け、不意打ちを受けてしまったように感じる

上記のような現象が起きる可能性があります。

目つきや歯を鋭くするだけでも「敵」感を出せるので、
敵をデザインする時は「敵」だという事を感じられるよう意識してみてください。

「役割」以外の過分な情報に注意

今回は

  • 突進してくる敵
  • ザコ敵(簡単に倒せる)
  • 火山エリアの敵

という役割があり、これらの情報を伝えるためのデザインを進めています。
そこで、以下のような情報を付与した場合にどうなるかを見てみましょう。

二足歩行にしてみる

「パンチ」や「投擲」など、
「突進」以外にプレイヤーが予測できる行動の選択肢が増え、
今回のデザインが伝えるべき「突進する敵」という役割が伝わりにくくなってしまいます。

重装備にしてみる

必要以上に重装備にしたり、頑丈そうにすると、
「簡単に倒せる」という役割が伝わりにくくなってしまいます。

上記2つの要素は、「簡単に倒せる」という役割を伝えるには適性の低い要素ですが、
「一筋縄ではいかない敵」をデザインする場合には逆に有用な要素になります。

今回は入れるのを見送りましたが、もし「一筋縄ではいかない敵」をデザインする事があったら
上記の要素も試してみると効果的にはたらくかもしれません。

まとめ


「ゲーム内の役割」から考えていく事で、無事デザインを完成させる事が出来ました!

今回使った「ゲーム内の役割」から敵キャラをデザインするフローは、
敵キャラだけでなく操作キャラやステージギミックなど、ゲーム内の他のデザインにも応用することが出来ます。

もしゲーム内のデザインに詰まる事があったら、今回のフローもデザインの一助にしてみてください。

ご覧いただきありがとうございました!



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