【新人研修】2026年度 新人研修 技術連結課

目次
はじめに
初めまして! 2026年4月に入社いたしました、技術連結課の宮﨑 光琉(みやざき ひかる)と申します!
4月から2か月間にわたり、技術連結課としての新人研修を受けました。 今年は出社での研修となり、同期のメンバーや先輩方と毎日リアルで密にコミュニケーションを取りながら進めることができました。
私は学生時代、様々な企業でインターン生として実際のプロジェクトにアサインされ、実装経験を積んできました。また、企業開催のゲームジャムなどにも積極的に参加していたため、開発の流れや自分の技術である程度何ができるかは分かっているつもりでした。
しかし、技術連結課のミッションである「堅牢で拡張性が高く、開発を効率化するツールや仕組みの構築」「グラフィックやAIなどの幅広い知識の習得」を深く追求するなかで、プロとしてのさらなる基準や、実機ならではの深い壁を学ぶことになりました。非常に濃密だった2か月間の研修内容をご紹介します!
PCのセットアップ、ビジネスマナー、環境構築(4/1~4/9)
PCのセットアップ&交流会
入社初日は、これから相棒となる開発用PCのセットアップから始まりました。先輩方に手順を優しく教えていただきながら、必要なスペックや環境が整っていくのにワクワクしました。 2日目には、チームの雰囲気に慣れるための交流会(社内ゲーム大会やランチ会など)を開いていただき、緊張が一気にほぐれました!

環境構築・バージョン管理ツール研修
後半からは、実際の業務で使用するGitとSVNのバージョン管理ツールの研修を受けました。 学生時代のインターンシップ等でGitはかなり触り慣れていたのですが、実はSVNの使用は初めてで最初は少し戸惑いました。しかし、概念自体はGitの経験からすぐに理解できたため、比較的早く使いこなすことが出来るようになりました。後半は、同期のメンバーが環境構築やツールまわりのトラブルで困っている時に、自分が積極的にエラーを見て解決へ導くなど、インターン時代に培った現場感覚を活かして動くことができました。
マナー研修
社会人としての礼節や名刺交換、電話応対などを学びました。グループワークでは他部署の同期とも意見を交わす機会があり、「いよいよ社会人になったんだ」と身が引き締まる2日間でした。
創設者・堂前さんの著書『ゲームを動かす技術と発想R』勉強会

当社の創設者である堂前さんが手がけた名著『ゲームを動かす技術と発想R』の社内勉強会を行いました。
学生時代は「仕様通りに動くコードを書くこと」に集中しがちでしたが、この勉強会を通じて、普段私たちが遊んでいるゲームの裏側で「どのような数学的・物理的計算が行われているのか」、そしてそれを限られたマシンスペックの中で滑らかに動かすための「プログラマの執念と発想の工夫」を体系的に学ぶことができました。 ゲームを動かすための根本的な思想に触れたことで、プログラムに対する視野がぐっと広がり、その後の研修へのモチベーションがさらに高まりました!
📖 今回の勉強会で使用したテキストはこちら!
『ゲームを動かす技術と発想R』(著:堂前 嘉樹)
「ゲームが動く仕組み」の基本から、ゲームを面白く、かつ快適に動作させるためのプログラマの知恵と発想がぎっしり詰まった、全ゲームプログラマー・テクニカルアーティスト必読のバイブルです!
専門的な3D数学や物理の知識が驚くほど分かりやすく言語化されており、初心者から現場のプロまで深く学べる一冊となっています。
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ツール作成研修とドキュメント化(4/7~4/14)
課内で主要に使用されている言語(Python、C++、Batch)を使って、自動化ツールを作成する研修でした。
- 課題1(Python): CSVで指定した「変更前・変更後」のリストを元に、サブフォルダまで網羅して一括リネームを行うスクリプト(
Rename.py)の作成。 - 課題2(C++ / VS): BMP画像をTGA画像に変換する、アルファチャンネル考慮のx64版
bmp2tga.exeの作成。 - 課題3(Batch): 課題2のexeを利用し、入力・出力フォルダを引数指定してサブフォルダ構成を維持したまま一括変換するバッチファイルの作成。

ただコードを書くだけでなく、イレギュラーな状況にも耐えられる「堅牢性」や、状況が使用者に伝わる「ログの表示」を強く意識しました。 また、作ったツールを社内情報共有ツールの記事としてまとめる課題もあったのですが、技術に馴染みのない人にもわかりやすく説明する言語化に思った以上に手間取ってしまい、ドキュメント作成の重要性と難しさを痛感しました。
エディタ拡張&テクスチャデータ研修(4/15~4/17)
ゲームエンジン(Unity)上でのツール作成と、グラフィックに関するテクスチャデータ研修でした。
テクスチャインポーター&右クリックメニューの作成
Unityのエディタ拡張機能を使い、以下のような実務直結のインポーターや便利機能を実装しました。
- 命名規則による自動設定: ファイル名末尾の文字列(
__Cならアルベド、__Nならノーマルなど)を判別し、インポート設定を自動で切り替える。 - ORMテクスチャの自動生成:
__O(オクルージョン)、__M(メタリック)、__R(ラフネス)のTGAが存在するとき、インポート時に自動で1つのチャンネル合成テクスチャ(__OMR)を生成する。 - アセット・GameObjectの自動生成: フォルダ右クリックから、フォルダ名と同名のPrefabを自動生成したり、内部のMeshesフォルダにあるfbxを自動で子供に紐付けたGameObjectをルートに生成する機能。
開発者が手動でやるとミスが起きやすい「単純作業」を、システムの力でいかに自動化・最適化できるかを深く追求できた、非常に楽しい研修でした!

フォルダの中のメッシュからPrefabを作成する拡張機能

テクスチャのフォルダからマテリアルに自動で割り当てる拡張機能
数学と格闘したシェーダー研修(4/18~4/20)
数学的な知識やCGの描画基礎を身につけるため、Unityを使用したシェーダー作成に挑戦しました。パラメーターをマテリアル上で調整できるように組むのがルールです。
- 課題1:トゥーンシェーダーの作成 メインライトに反応するUnlitシェーダーを作成。Photoshopを使って自作したランプテクスチャを外部指定できるように拡張しました。
- 課題2:輪郭描画(背面法) オブジェクトの裏面を少し膨らませて描画する「背面法」でアウトラインを実装しました。トゥーンと輪郭を一画面で綺麗に融合させる難しさを学びました。
- 課題3:数式で作る特殊UIシェーダー テクスチャを一切使わず、数学的な計算だけで「0〜100で円状にじわりと変動するゲージ」を作成しました。太さや半径、色にこだわって調整できるようにしました。
- 自由課題:エンカウント時ポストエフェクト RPGで敵と遭遇したときのカッコいい画面演出を、シェーダーと制御スクリプトを組み合わせて作成しました。
CG数学の知識がダイレクトに画面の美しさに繋がる楽しさを知り、描画不具合が起きた際にも原因の予測が立てられるような基礎知識が身につきました。


数式で作る特殊UIシェーダー
AIを活用した最先端デバッグ研修(4/21~4/24)
昨今の開発現場に欠かせない「AIを適切に活用した開発・デバッグ」のカリキュラムでした。
ただAIに頼り切るのではなく、「コーディングは人間が行い、デバッグや脇の分野でAIを活用する」というスタンスで挑みました。
なんとテスト用環境として、実際に自社で開発され、Steam等でリリースされている本格グラップルアクションゲーム『セナとペグと不思議な塔』の実際のUnityプロジェクトを使用させていただきました!
🎮 テスト環境としてお借りした自社タイトルはこちら!
『セナとペグと不思議な塔』

本作は、プレイヤーが「ペグ」というキャラクターを操作し、ロープを引っかけて縦横無尽に高い塔を登っていく2Dアクションゲームです。
自由度の高いグラップル移動を組み合わせた、爽快感抜群のタイトルとなっています!
具体的には、MCP(Model Context Protocol)とCLIを実装し、uLoopというツールを使用してUnityの動作を常時監視する仕組みを構築。さらにML-Agentsを組み合わせることで、ゲーム内のバグを自動で検出(自動デバッグ)させる環境を作りました。
このAI自動テストにより、以下のバグを実際に検出・修正することに成功しました!
- Bug 1: シーン内の特定オブジェクトへの
SceneResourceManagerのつけ忘れによるNullReferenceException(ヌルリポ)エラーの検知。 - Bug 2: 床の見た目をしているのにコライダーの
IsTriggerがtrueになっており、キャラクターがすり抜けて乗れない不具合の検知。
AIをただのチャットツールとしてではなく、エンジニアリングの強力なシステムとして組み込む発想を学べたのは非常に刺激的でした。

ML-Agentsがグラップルを使用して簡易的なゴールにたどり着くという学習をしている様子
視点を変える!外部講師によるゲームメカニクス研修(4/27)
AI研修を終えた直後、外部講師として株式会社ゲームデザインラボの 知久温(ちく あたたか)様([Xアカウント: @my_syumi_game])をお迎えし、「ゲームデザイナーの役割」を学ぶゲームメカニクス研修を行っていただきました。
🔶 ゲームデザインの定義
プレイヤーの視点に立って「面白い体験」ができるように、ゲームを設計・構築・調整すること。
そのために、デザイナーは「面白いとは何か」を細かい部分まで言語化する必要があります。講義では、それを分解する2つの強力な手法を学びました。
🎲 ① MDAフレームワーク
基本のゲームサイクルを「M(仕様)」「D(変化)」「A(感情)」の3層に分類する考え方です。
身近な「ジェンガ」を例に挙げると、以下のように綺麗に分解できます。
| 要素 | 意味 | ジェンガで例えると? |
|---|---|---|
| Mechanics(メカニクス) | ルールや仕様 | 「2本指だけで引き抜く」「上に乗せる」 |
| Dynamics(ダイナミクス) | ユーザーの戦略や変化 | タワーがどんどんグラグラに「変化」していく |
| Aesthetics(エステティクス) | プレイヤーの感情や体験 | ハラハラドキドキからの……ドンガラガッシャーン! |
🔄 ② インタラクションループとフロー理論
人間の行動を4つの原理に当てはめたフレームワークです。
- 認知・要求: 情報を見て、それを欲するか決める。
- 計画: リスクリターンと攻略方法を考える。
- 実行: 実際に操作してやってみる。
- 結果: 成功なら「喜び」、失敗なら「悔しさ(次への計画)」が生まれる。
ゲームにおいて、ただ「勝利」という『結果』だけがあっても面白くありません(某スタンド使いのように「『結果』だけが残る」世界ではダメなのです)。
私たちがゲームを面白いと思えるのは、その道中にある試行錯誤や紆余曲折(計画と実行)のループがあってこそだと深く理解できました。
怒涛の合同ゲームジャム(UE編 & Unity コンソール編)(5/1~5/29)
研修の締めくくりとして、プログラム課やゲームデザイン課の同期と合同でのゲームジャムに挑戦しました。今回は「Unreal Engine(1週間)」と「Unity / 実機検証(2週間)」の2つの環境で開発を行いました。
🎮 Unreal Engine ゲームジャム(1週間)
まずはUEでの開発です。 開始早々、Visual Studio 2022とUEの連携不具合に直面しましたが、技術連結課の意地として不具合をワンクリックで直すための環境修復バッチファイル(.bat)をサクッと自作してチームの開発環境を支えました。
実装面では、スタート画面からインゲーム、Clear / GameOverの判定処理、さらに会話の分岐システムなどを担当しました。短い期間でしたがゲームループをしっかり完成させ、BGMの綺麗な遷移まで実装。発表会では「発表の仕方が素晴らしい!」と先輩方からたくさん褒めていただけて嬉しかったです。

細かい部分だと敵AIが壁を貫通してこないように動的に動ける場所を設定しています。

3×3のマップの自動生成をして、隣に進むことのできない部分を赤く、通ることのできる部分は緑で分かりやすくしています。
🎮 Unity コンソールゲームジャム(2週間)
技術連結課としての私のミッションは、チームがコンフリクトを起こさず、ストレスなく開発に集中できる「強力な共通基盤(フレームワーク)の自作」でした。学生時代に商業プロジェクトのコードに触れていた経験を活かし、最初から実務レベルの強固な設計を目指しました。
1. チーム開発を支える4つの共通基盤システム
多人数での並行開発でコンフリクトを回避し、かつ保守性を高めるために、以下の4つのマネージャーシステムを設計・一元管理しました。
- ① UIシステム: 複数のUIパネルや画面をシングルトンで一元管理。表示・非表示や画面遷移を安全に制御。

- ② マルチシーンシステム: Unityの複数シーンの同時読み込み(Additive)や切り替えを制御。Managerの配置やデータ連携を効率化。

- ③ Audioシステム: BGM/SEの再生・停止操作を簡略化し、ミキサー連携による高い拡張性を確保。

- ④ ステージマネージャー: ユーザーが選択したステージの状態管理や、それに伴うUI制御を自動化。

2. UIの構造とエディタ拡張による「自動生成」
UI設計にはMVP(Model-View-Presenter)パターンを徹底活用しました。Param(Model) / View / Presenter の3層構造に分離することで、データと見た目の依存関係を完全に排除しています。これもインターン時代に学んだ「大規模開発で破綻しないための設計」の応用です。
さらに、これらをいちいち手動で作るのは効率が悪いため、ウィザード形式のEditor拡張ツールを自作しました!

💡 UIの表示・非表示がたったの1行に! 新規UIを追加する際、ツールがスクリプトとPrefab、さらにテンプレートまで自動生成します。シーン常駐型・Prefab動的ロード型の両方に対応させ、他のプログラマから「宮﨑さんが作ってくれたシステム、めちゃくちゃ使いやすい!」と言ってもらえた時は、ツールエンジニアとしての大きなやりがいを感じました。
また、操作面でもInput Systemを購読し、コントローラーやキーボードによるナビゲーション(選択状態の自動管理や切り替え)を実装。実機での快適な操作性を担保しました。
🛠️ 反省・学び・そしてAIの活用
学生時代に「お金をもらって実際のプロジェクトを実装してきた」という自負があったからこそ、今回のゲームジャムでは技術的な基盤作りでチームを引っ張る自信がありました。しかし、そんな自分にとっても「実機特有のバグ」は非常に大きな壁であり、自分の実力のなさを痛感すると同時に、実機検証の重要性を骨身に染みて学ぶ素晴らしい機会となりました。
- 環境整備の重要性: 自分が設計したシステムをチームメンバーに有効的に使ってもらうためには、Editor拡張やドキュメント、サンプルを用意する「環境整備」が極めて重要だと学びました。
- 想定漏れと再実装の力: 実際に人に使ってもらうことで設計の穴が見つかりましたが、それらを恐れず、急遽仕様を見直して期間内に再実装しきる「臨機応変な対応力」を身につけることができました。同期から「宮﨑さんが作ってくれたシステム、めちゃくちゃ使いやすい!」と言ってもらえた時の喜びは格別でした。
まとめ
入社前はある程度「できる」と思って臨んだ研修でしたが、先輩方がいつでも質問に答えてくださる温かい環境と、実務に直結する素晴らしいカリキュラムのおかげで、この2か月間でエンジニアとしての解像度がさらに上がりました。
自動化ツールの堅牢性、シェーダーの描画仕組み、AIを使ったデバッグ、そして実機特有のメモリ管理。学生時代のインターンシップだけでは届かなかった「プロの技術連結」の深さを知ることができました。
技術連結課として、「開発をより効率的に、より楽しくする仕組み」をこれからも追求し、1日でも早く会社やプロジェクトに大きく貢献できるよう、これからも牙を研ぎ続けていきます!
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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