1. サイトトップ
  2. ブログ
  3. アート
  4. 3点パースでおしまいではない?遠近法の基礎

3点パースでおしまいではない?遠近法の基礎

こんにちは。ゲームデザイン課の和泉です。
最近「そろそろ新入社員のみなさんは会社に慣れてくれたかな?」と思う時があります。
特に、会社勤めならではの人との距離感ってなかなかつかむのが難しいですよね。

ということで今回は距離感をイラストに起こすときに使う遠近法、特にパースのお話です。

遠近法・パースとは何か

遠近法とは、平面の紙や画面に「奥行き」を作り、立体的な空間に見せるための描画ルールです。

人間は、いろんな基準で奥行きや立体感を判断しています。

例えば…

  • 大きさ: 大きいものは近い、小さいものは遠い。
  • 位置: 画面の下にあるものが近い、上にあるものは遠い。
  • 鮮明さ: はっきり見えるものは近い、空気でかすんで見えるものは遠い。
  • 重なり: ものが重なっているとき、形が欠けていない方が手前、形が欠けている方が奥。
  • 色相: 赤や黄色の暖色は手前にあり、青などの寒色は奥まっている。
  • 明度: 明るい色は手前にあり、暗い色は奥まっている。

これらを絵に描くときに意識すると、平面上でも自然な奥行きを表現することができます。

そして特に、平行な線(道や線路など)が奥に行くほど狭まり1点に集まって見えることを利用して、
「大きいものは近い、小さいものは遠い」ことを表現する技法をパース(透視図法)と言います。

基本のパース

パース(透視図法)における基本の技法3つをご紹介します。

1点パース(消失点:1つ)

見え方: 物体を正面から見る視点。または正面から奥に向かってまっすぐ引き込まれる視点。
特徴: 縦線と横線は画面に対して平行のままで、奥行きの線だけが中心の1点に集まります。

※弊社フロアのエレベーターホールです

この消失点のある位置をアイレベルと言います。
アイレベルは観測者(カメラ)の目の高さのことで、地平線や水平線と基本的にはほぼ一致します。
なので、水平線や地平線を人間の目の高さに置くと、立っている人が自然に景色を見た時のような絵を描くことができます。

2点パース(消失点:2つ)

見え方: 物体を斜めから見る視点。
特徴: 縦線はまっすぐ平行ですが、左右に伸びる線が左右それぞれの消失点に向かって傾きます。どちらの消失点も、アイレベル上にあります。

※弊社にある電子レンジです。お昼休みに大活躍しています。

3点パース(消失点:3つ)

見え方: 下からダイナミックに見上げる、または上から見下ろす視点。
特徴: 左右の2点に加え、上または下に3つ目の消失点ができ、高さ方向にも遠近感がつきます。上下方向の消失点は、アイレベル上には存在しません。

先ほど、カメラの高さがアイレベルになると申し上げました。
なので、カメラの位置が被写体より高い(=アイレベルの位置が被写体より高い)と、被写体を見下ろす構図になり、
逆にカメラの位置が被写体より低い(=アイレベルの位置が被写体より低い)と、被写体を見上げる構図になります。

※弊社の入っているビルです。

以上の3点が、基本的な透視図法です。

1点、2点、3点パースだけで足りるの?

3点パースまでの3つが基本的な透視図法だと申し上げました。
実際、”パース”と検索をかけると、多くのサイトでこの3つ透視図法の説明がされています。
3点パースまで描けるようになれば、x軸、y軸、z軸、全ての奥行きを表現できるようになるので、基本的な空間は大体描けるようになります。
 
しかし、本当にそうでしょうか?
4点目の消失点、あってもよくありませんか?

何を言っているのか分からないと思いますので、想像してみてください。

あなたが空を飛んでいたとして、目の前に大きなビルがいくつも建っているとしましょう。

この時のあなた目線の絵を描こうとしたらどうなるでしょうか? 
試しに3点パースを使って描いてみましょう。
まずは上に消失点を取った時。

アイレベルより下がどんどん大きくなっていくのが、なんだか違和感がありますね。
では、逆はどうでしょうか?

今度はアイレベルより上が大きくなっていて違和感があります。
アイレベルはカメラの位置です。
カメラより遠くなる(上や下に離れる)のに大きくなっていくのは物理的におかしいのです。

カメラより遠くなるところを小さくするためには、
上だけ・下だけでなく、「上下の両方に消失点を取りたくなる」はずです。

取ってみましょう。

少し直線的すぎると、ビルが真ん中でカクっと曲がってしまって不自然ですね。
緩やかな曲線で表現してみましょう。
 

いい感じになってきましたね!!
ビルや雲を追加して整えましょう。


上下に広がりのある絵になりましたね!

この感じ、見たことありませんか?これが魚眼パースと言われるものです。
魚眼パースを使うと、上下左右の広がりを感じることができ、広大な空間を描く事ができるようになります。

ちなみに、魚眼パースは中央奥に消失点がもう一つあるので、4点パースどころか5点パースです。

ぴったりな透視図法の選び方

さて、色々な透視図法を紹介してきましたが、
結局自分が絵を描くとき消失点をいくつにすればよいのか、迷いますよね。

基本的には以下を考えるとうまくいきます!

  • 迫力が欲しければ消失点を増やす
  • 静かな絵にしたかったら消失点を減らす

それぞれの図法が得意とする表現と具体例を見てみましょう。

■1点パース:静けさ・視線誘導・奥行きの強調
視線が奥の1点に引き込まれるため、「奥行き」や「長さ」が強調されます。

向いているシーン: 部屋の内観、誰もいない静かな廊下、まっすぐ続く道路や線路など。
与える印象: 静寂、奥行き感、ストーリー性。

■2点パース:自然な広がり・安定感・現実感
私たちが普段見ている景色に近いため、クセがなく見やすい画面になります。
(私たちは普段まっすぐにものを正面から見据えることは少ないですし、基本的には上下を見ず前を見て生活しているので上下の消失点を意識することも少ないです。)

向いているシーン: 建物の外観、箱の斜めアングル、普段の街並みなど。
与える印象: 安定感、ナチュラルさ。正面と側面が見えるので、物の形を説明するのにも最適です。

■3点パース:ダイナミックな迫力・臨場感
高さ方向の遠近感が加わることで、画面に一気にインパクトが生まれます。

向いているシーン: 見上げるような高層ビル群、極端なアオリやフカンのアングル、迫力あるアクションシーンなど。
与える印象: 圧倒的な迫力、臨場感、緊張感。

■魚眼パース:画面の「動き」と超広角の臨場感
消失点に向かう線が曲線であるため、迫力に加えて画面全体に大きな「動き」が生まれます。

向いているシーン: イラストにダイナミックな動きを出したいとき。空を飛び回るような視点、キャラクターが迫ってくる超近接構図など。
与える印象: 躍動感、包み込まれるような没入感、強烈なインパクト。


無理に消失点を増やして大変な思いをする必要はありません。
作画の手間や難易度で言えば、消失点の数が少なければ少ないほど楽になります。
表現したいことと作画コストのバランスを見ながら、ぴったりな透視図法を選んでみてください。

余談:本当にパースを使う必要ある?


さて。
ここまで長々とパースについてご説明してきましたが、最後に元も子も無いことを言います。

最初の方に、「人は色んな方法で奥行きを感じている」と申し上げました。
では、パースを使わなくても、奥行きは表現できるのではないでしょうか?

答えはYesです。

ということで最後に余談として、「アイソメトリック図法」をご紹介します。
アイソメトリック図法では、x軸、y軸、z軸がすべて120度で交わり、いずれにも消失点の存在しない空間で立体感を表現します。

どういうこと?と思われるかもしれませんが、こういうものです。

※ロジカルビートオフィス(一部)の超簡易的な地図です

パースによる線のすぼまりはなく、「重なり」などだけで奥行きを表現します。
広がりや迫力は感じられませんが、奥まったものが小さくならず、x軸、y軸、z軸すべての面が等しく描かれるので、大きさや形状を把握しやすいです。
また、正面・側面・上面の3つの面を1つの画面で同時に確認できることもあり、説明的な画像に向いています。
(例えば、会社のプレゼン資料で使うようなイラストや、建物の地図、家具の組み立てマニュアル等。)

「とにかく大きさや配置を立体的に説明できればいい!」という時には、アイソメトリック図法パースから解放されてみるのも、ありかもしれません。

いかがでしたでしょうか。
会社での人との距離感も、イラストの距離感も、状況に合わせてうまく使い分けていきたいですね。


【免責事項】

本サイトでの情報を利用することによる損害等に対し、
株式会社ロジカルビートは一切の責任を負いません。